「大人になんて、そんなに生まれ変われるもんじゃねーよ。大まか大人に達するって何なんだろうな。『社会人として』とか『大人として』とか。必ず自分がそのカリスマみたいな風情で説教して現れる輩が随時いるけど、おとなって字自体が薄々しすぎてて全然意味がわからねー……」そう言いながらN・Tはゆっくりと振り返った。いったいおとなは何なんでしょうか。N・Tの投げかける質問について、ろくな答えが思い浮かびませんでしたが、俺には依然として内面で理解しきれておらず、娘とおとなってを比べたときの対極におけるリアクションにも迫る字がありました。「昔、お袋から耳にタコが出来るほど言い聞かされてた字があった」俺は現下思い起こしたばかりのように身の上言葉を切り出しました。「〝知らない大人にはついて行くな〟〝危険な場所には飛びつくな〟って」「何の言葉だよ」「これって、とどのつまりおとなたちが自分の娘を管理するための字だろ?本当に自分が大人になってみりゃ、何ら逆です。初対面のヤツ、気難しいヤツ、やばいヤツ、色々いるけど、そのいずれともこれからは無理矢理にも付き合っていかなきゃならない。危険な場所にだって本人飛び火していく肝ったまも必要になってくる。今まで父母にどれだけ不安から遠ざけるように保護されてきたかが、この頃身に染みてわかるようになってきた」N・Tは瞬間的に系を射抜かれたかのように俺を瞠目すると何度か相槌を打ちました。

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「は?三クラスのなんだって?」あたしにはそのコピーは徹頭徹尾理解できないどころか、耳にした想い出すらありませんでしたが、突如としてN・Tは得意げにそれについて評しはじめました。「基本だよ。業っていうのは三通年続けてしまえば、その先は仮に不愉快ことがあっても乗り切れるらしき。言い換えれば、いかに辛かろうという三クラスは我慢してがんばり続けないといけないって状況らしいけどな。僕は3クラスどころか2クラスも持たなかったけど」「へえ。『三クラスの基本』ねえ……」言葉尻だけはそのままだったが、私の知らないところでN・Tは、断じてもっともらしきカルチャーを掻い摘んで要るみたいでした。「けれども僕はこんなおかしい対談なんて断片も頼りできねえんだよ。そもそも、大して先の将来を案の定誰が保証して受け取るんだって対談だろ?今の世の中、三クラス引き返しどころか三ヶ月会社も不透明だっていうのに」現に、N・Tの言っていることは理に適っている地点もありました。世の中では毎日のように無数の案件や災禍が巻き起こっています。民族や国籍、性別に関係なく、自殺や罪に駆けるやつが後を絶たないのも過去。「それでも、そんなもん空論だからな。お前も間に受けない方がいいぞ」そう言うってN・Tはあたかも料金の総数棒のように軽食チョコを断片、空中に掲げてから自らの口の中央へここ見よがしに放り込みました。

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